愚者のエンドロール

愚者のエンドロール (角川文庫)

愚者のエンドロール (角川文庫)

古典部」シリーズ第二弾、愚者のエンドロール。読了。楽しかった。
感想は多分にネタバレが含まれそうなので以下で。
米澤氏はまたも人を殺さないミステリを書いた。今回は劇中劇という形で。
構成は、一本のビデオ製作にまつわる謎解き。製作途中のビデオを観て、関係者に話を聞きながら「犯人が誰だったのか」を探るというストーリー。一冊丸々使っている分、連作短編よりも話が深い。
私はミステリを推理しながら読むと言った嗜み方はしないので、純然と物語を追っているだけなのだけれど、推理について丁寧に一つ一つの可能性を検討して潰していってくれるので、自分自身も自然と答えに辿り付き易い。全貌が明かされたときには九割方把握できている、という状況はミステリ的な楽しみ方ではないと思うけども、答えを見つけた爽快感とは違う、心地よさがある。
ところで、どうしても作者はホータローに間違いをさせたいらしい。100%の推理をしない不完全さが、より物語を引き立たせている気もするが、二度も続けて見ると少し飽きるかな。
なんにせよ。上手いなぁ。